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読売ウィークリー2006年4月9日号「21世紀企業の研究」掲載記事
マンション事業で培ったノウハウを土地再生事業に活かす
「経済効率」と「社会貢献」の両立で都市再生の一翼を担う


創業者 石塚 栄一

 企業の社会的責任が求められる風潮が広がりつつある中、「経済効率」と「社会貢献」のバランスを取りながら、わずか10名の少数精鋭で77億円の売上を誇る企業が埼玉県越谷市にある。それが、文化エステート株式会社(資本金2000万円、石塚栄一社長当時)。


「エフローレ日本橋浜町」の
エントランス


「エフローレ越谷スタシオン」
構内の中庭

 同社は自社ブランド「エフローレシリーズ」のマンション分譲、高級木造住宅分譲を主体に営業展開。最近5年間で9棟のマンションと9団地の戸建住宅の分譲実績を誇る。
 今年3月末日に完成予定の「エフローレせんげん台スタシオン」も販売好調で、既にほぼ完売という状況。石塚社長自らマンションの企画・設計に携わり、好評を得ている。地域密着の姿勢で越谷市を拠点に吉川市、三郷市などの周辺エリアを中心に事業展開しているが、都市回帰の熱が高まり始めた2001年以降は都市でもマンションを分譲。
 マンション分譲で培ってきたノウハウを活かし、近年社会貢献の側面から紹介したい事業が「不動産の再生事業」ともいうべき取り組みだ。
 細分化された土地や、利権が複雑に絡み合って売買が困難な土地を整理し、ビルの企画・施行を行い、デベロッパー会社へ売却。同社は、大手デベロッパーと地主の調整役として手腕を発揮している。
 近年では六本木において、利権が絡み、扱いづらい不動産を地主同士の調整役として整理。大手デベロッパーがテナント管理を行うオシャレな都市ビルへ生まれ変わらせた。

短期的な自社利益は追求せず、大局的な視点で事業展開

 土地に関する知識・経験をベースにした処理能力のみならず、どうすればその土地が生き返るか、近隣を含めて歓迎される場所となるかを見極める大局的視点が根底にある。
 地権者の利権を守りつつ、街の活性化へと繋げる。住民にもメリットがある地域社会への貢献ともいえよう。
 「都市再生の一翼を担う」事業だが、石塚社長が「1つ1つ紐解く作業」と語るとおり、手間も時間もかかる。
 「土地を扱うといっても、土地にはそれぞれ地主がいる。交渉相手は結局人だから、良好な関係を築くことが大切」と語るように、土地の再生を実現している要因として、人間関係を大切にする石塚社長の人柄も付け加えておきたい。毎年、桜が咲き誇る季節には日本橋界隈の縁のある人たちと、花見に行っているという。
 また、協力会社が経営難の状況でも、真摯に仕事に取り組む姿勢を評価して、経営不振が表面化する以前と同様の取引を行ったというエピソードもある。現在は、この会社と協同で耐震性保証を行っており、現場での検査には、石塚社長自ら立ち会っている。
 「売上は追い求めない。数字だけを追いかけると、利益だけを優先させるための無理や嘘が生じる」という経営方針にも人柄が表れている。
 方針を具現化するため、社員は少数精鋭とし、固定費を抑える一方、不動産鑑定士、弁護士などの専門家集団を結集。豊富な経験と自由な発想で不動産の仕入れから企画、有効活用方法までを手掛けている。

(堀)
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文化エステート

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